退職代行で懲戒解雇になる?退職代行を使っても大丈夫!

退職代行サービスの利用を検討しているけれど「退職代行を使うと懲戒解雇になるのではないか…」と不安に感じていませんか?あるいは会社から「懲戒解雇にするぞ」と脅されて困惑しているかもしれません。
この記事では退職代行と懲戒解雇の関係について徹底解説します。
大前提で知っておきたい懲戒解雇のこと。辞める時に退職代行を利用しただけで懲戒解雇になる可能性は本当にあるのか、そして万が一の事態を避けるために何をすべきかを紹介します。
結論、退職代行サービスを使って「懲戒解雇」になることはほとんどないです。
その理由も解説します。

そもそも「懲戒解雇」って何?普通の退職とどう違うの?
まず懲戒解雇がどのようなものなのか、他の退職の種類との違いと合わせて正しく理解しましょう。
懲戒解雇とは?一番重い罰則としての解雇
懲戒解雇とは、会社の秩序を著しく乱した従業員に対して制裁として科される最も重い処分です。例えるなら学校における「退学処分」に近いものと言えるでしょう。
従業員が重大な規律違反や不正行為を犯した場合に会社が一方的に労働契約を解除することを指します。
懲戒解雇になると、どんなデメリットがあるの?

懲戒解雇処分を受けると従業員には多くの不利益が生じる可能性があります。具体的には退職金が支払われなかったり大幅に減額されたりすることがあります。また、通常解雇の場合に支払われることがある解雇予告手当も懲戒解雇の場合は支給されないケースがほとんどです。
さらに転職活動においても不利になる可能性があります。履歴書の賞罰欄に懲戒解雇の事実を記載する必要が生じることがあり採用選考でマイナスな印象を与えかねません。企業によっては前の会社に懲戒解雇の事実を照会することもあります。失業保険(雇用保険の基本手当)の給付においても給付制限期間が通常より長くなったり給付日数が少なくなったりするなど、不利な扱いを受けることがあります。
普通解雇や自己都合退職との違い
懲戒解雇と混同されやすい他の解雇・退職理由との違いは以下の通りです。

普通解雇
従業員の勤務態度不良や能力不足など、従業員側に起因する理由で会社が労働契約を解除することです。懲戒解雇ほど重い処分ではありませんが、これも会社からの一方的な契約解除です。
自己都合退職
従業員自身の意思で退職することです。転職や結婚、家族の介護など理由は様々です。近年利用者が増えている退職代行サービスを利用して退職する場合も多くはこの自己都合退職として扱われます。
整理解雇
会社の経営不振や事業縮小など、会社側の経営上の理由によって行われる人員削減のための解雇で従業員側に責任がない解雇です。
【結論】退職代行を使っただけで懲戒解雇になる可能性は「ほぼゼロ」!
多くの方が最も気にされているであろう結論から申し上げます。退職代行サービスを利用したという事実「だけ」を理由に会社があなたを懲戒解雇にすることは、法的に見てほぼ不可能です。その理由を詳しく見ていきましょう。
企業が「懲戒解雇」を有効にするには非常に厳しい条件があるから
企業が従業員を懲戒解雇するためには非常に厳格な法的要件を満たす必要があります。単に「気に入らないから」「退職代行を使ったから」といった理由で懲戒解雇が認められることはありません。
具体的に会社が懲戒解雇をする場合は以下のような条件が求められます。

- 就業規則への懲戒事由の明記と周知
どのような行為が懲戒解雇に該当するのかが就業規則に具体的に記載されており、かつその就業規則が従業員に周知されている必要があります。 - 懲戒事由に該当する客観的で合理的な証拠
懲戒解雇の理由となる従業員の行為が就業規則に定められた懲戒事由に実際に該当し、それを裏付ける客観的かつ合理的な証拠が必要です。 - 処分の重さが社会通念上相当であること
行われた問題行為の性質や程度に照らして懲戒解雇という処分が重すぎないか、社会の一般的な常識から見て妥当であると判断される必要があります。些細なミスや軽微な規律違反でいきなり懲戒解雇にすることは多くの場合不当と判断されます。 - 弁明の機会の付与などの適正な手続き
懲戒処分を行う前に従業員に対して弁明の機会を与えるなど適切な手続きを踏む必要があります。
企業側もこれらの条件を満たさずに不当な懲戒解雇を行った場合、従業員から訴訟を起こされ解雇が無効と判断されるリスクを十分に理解しています。そのため退職代行の利用という行為自体を懲戒解雇の理由とすることは極めて考えにくいのです。
注意!退職代行を使っても「懲戒解雇」のリスクが生じる稀なケース
退職代行を使った「だけ」では懲戒解雇にならないと述べましたが、ごく稀に退職代行の利用と前後して懲戒解雇のリスクが生じるケースも存在します。ただし、これらはあくまで「稀なケース」であり退職代行の利用そのものが直接の原因ではないことを理解しておくことが重要です。
退職代行利用以前に懲戒解雇に相当する重大な問題行為があった場合
最も注意すべきなのは退職代行サービスを利用する以前の段階ですでに懲戒解雇に該当するような重大な問題行為を従業員が起こしていた場合です。例えば以下のようなケースが考えられます。
- 業務上横領や窃盗、背任行為など、会社に経済的な損害を与える犯罪行為。
- 顧客情報や企業の重要な機密情報を意図的に外部に漏洩したり不正に持ち出したりする行為。
- 会社の名誉や信用を著しく傷つけるような犯罪行為(たとえ私生活上の行為であっても企業活動に重大な影響を与える場合は該当し得ます)。
- 採用の判断を根本から誤らせるほどの重大な経歴詐称。
これらの行為は退職代行を利用するか否かに関わらず懲戒解雇の正当な理由となり得ます。
長期間の無断欠勤など責任感に欠ける行為がある場合
退職の意思を伝える前後の行動にも注意が必要です。例えば以下のような行為は懲戒解雇のリスクを高める可能性があります。
- 退職代行に依頼する「前」から正当な理由なく長期間にわたり無断欠勤を続けている。
- 会社からの貸与物(パソコン、スマートフォン、社員証など)を故意に返却しない、または破損させる行為。
重要なのは退職代行に依頼したからといってそれまでの無責任な行動や問題行為が免責されるわけではないという点です。
【重要】懲戒解雇を確実に回避するために!退職代行利用時にあなたがすべきこと・注意点
退職代行を利用して円満かつ確実に退職するためにはいくつかの重要なポイントがあります。これらを守ることで懲戒解雇のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。

退職代行業者にすべての情報を正直に伝える!隠し事をしない
退職代行業者に依頼する際にはご自身の状況を包み隠さず正確に伝えることが何よりも重要です。
例えば無断欠勤の有無、会社との間で既に発生しているトラブルの経緯、その他会社から指摘されそうな懸念事項などがあれば事前に正直に相談しましょう。正確な情報に基づいてこそ退職代行業者も適切な対応策を講じることができます。
引継ぎは可能な範囲で協力する姿勢を示す!退職代行業者を通してOK
法律上、退職時の引継ぎは必ずしも義務ではありませんが円満な退職を目指す上では可能な範囲で協力する姿勢を示すことが望ましいでしょう。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で最低限の社会的責任を果たすことは無用なトラブルを避けるためにも有効です。直接会社とやり取りするのが難しい場合は、退職代行業者を通じて引継ぎ資料や必要なデータを提供したり後任者への業務説明メモを作成したりするなどの方法が考えられます。
会社への不満があっても感情的な行動や誹謗中傷は避ける
退職に至るまでに会社に対して様々な不満があったとしても退職が決まった後に感情的な行動を取ったりSNSなどで会社の誹謗中傷を行ったりすることは絶対に避けましょう。そのような行為は新たなトラブルの原因となるだけでなく場合によっては法的な問題に発展する可能性すらあります。
貸与物は速やかに返却する手続きをする
会社から借りているパソコン、社員証、制服、健康保険証(退職日以降は使用不可)などは速やかに返却する手続きを取りましょう。具体的な返却方法や期日については退職代行業者を通じて会社と調整してもらうのがスムーズです。退職代行業者がどこまでサポートしてくれるのか事前に確認しておくと良いでしょう。
会社のお金や備品を勝手に持ち出さない、機密情報を漏らさない
言うまでもありませんが会社のお金や備品を無断で持ち出したり在職中に知り得た会社の機密情報を外部に漏らしたりする行為は社会人としての基本マナーに反するだけでなく法的な責任を問われる重大な問題行為です。絶対にやめましょう。
信頼できる退職代行サービスを選ぶ
退職代行サービスを安心して利用するためには信頼できる業者を選ぶことが不可欠です。業者の実績が豊富か、弁護士や労働組合が運営または提携しているか、料金体系やサービス内容が明確であるかなどを事前にしっかりと確認しましょう。悪質な業者に依頼してしまうと、かえってトラブルが悪化する原因にもなりかねません。
退職代行を使っても懲戒解雇にはならない!でも会社から損害賠償請求されることはある?
退職代行を利用したこと自体が懲戒解雇の理由にならないことはご理解いただけたかと思います。では会社から損害賠償を請求される可能性についてはどうでしょうか。
退職代行の利用自体が損害賠償請求の理由になることはない
結論から言えば労働者が退職の意思を伝え退職代行サービスがその意思伝達を代行したという事実「だけ」を理由に会社が損害賠償を請求することは通常ありません。なぜなら前述の通り労働者には法律で認められた「退職の自由」があるからです。
会社に実害を与えた場合は請求される可能性もゼロではない
退職の仕方やその前後の行動によって会社に具体的な損害を与えた場合には損害賠償を請求される可能性も完全にゼロとは言い切れません。例えば以下のようなケースが考えられます。
- 極めて無責任な方法で突然退職し、その結果として進行中のプロジェクトに重大な遅延が生じ代替要員の確保も間に合わず、会社が具体的な金銭的損害を被った場合。
ただし、会社側がその損害とあなたの退職との因果関係、および損害額を具体的に立証するのは非常に困難。 - 会社の重要な機密情報を不正に持ち出し競合他社に漏洩した結果、会社が大きな損害を被った場合。
通常、よほど悪質で会社に大きな実害を与えたと客観的に認められるケースでなければ実際に損害賠償請求に至ることは稀であると言われています。
退職代行の利用と損害賠償については過去記事でも詳しく解説していますので参考にして下さい。

不安な場合は弁護士が対応する退職代行サービスを選ぶとより安心
もし、ご自身の状況から損害賠償請求のリスクが少しでもあるのではないかと不安に感じる場合は弁護士が直接対応してくれる退職代行サービスを選ぶことを強くお勧めします。弁護士であれば法的な観点から適切なアドバイスを提供し、万が一会社から不当な請求を受けた場合にも適切に対応してくれます。

「弁護士法人ガイアの退職代行」は24時間、気軽にLINEで相談出来て様々な未払金の交渉が可能です。
また退職成功率100%を謳っているだけに経験豊富な弁護士の対応に期待できます。
もし会社から「懲戒解雇にするぞ!」と脅されたり実際に通知されたりしたら?
万が一会社から「退職代行を使うなら懲戒解雇にするぞ」と脅されたり実際に懲戒解雇の通知を受け取ってしまったりした場合はどうすれば良いのでしょうか。
まずは慌てず退職代行業者にすぐに相談する
このような状況に陥った場合まずは冷静になることが大切です。そしてすぐに依頼している退職代行業者に相談しましょう。専門家が間に入ることで感情的な対立を避け、法的に適切な対応を取ることが可能になります。
会社が主張する「懲戒解雇の理由」と根拠を具体的に確認する
会社がなぜ懲戒解雇にすると主張しているのか、その具体的な理由と根拠を明確に確認する必要があります。可能であれば解雇理由証明書など、書面での通知を求めるようにしましょう。その理由が本当に懲戒解雇に値するほどの重大なものなのかを客観的に判断することが重要です。
不当な懲戒解雇であれば、争うことも可能
会社から言われた懲戒解雇の理由が「納得できない」と感じるような不当なものだった場合、その処分に対して争うこともできます。
万が一に備えて労働問題に詳しい弁護士が運営、監修している退職代行サービスを選んでおけば、会社との話し合い(交渉)をお願いしたり、場合によっては「労働審判」(裁判よりも早く解決を目指せる話し合いの手続き)や、最終的には裁判といった法律的な手段で解決を目指したりすることも、選択肢として考えることができます。
懲戒解雇を通知されても、自己都合退職として処理してもらう交渉の余地も
たとえ会社から懲戒解雇を通知されたとしても状況によっては自己都合退職として処理してもらうよう交渉する余地が残されている場合もあります。特に弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスであれば、このような会社との交渉も代行してくれる場合があります。
退職代行を使っても懲戒解雇になることはほぼない
退職代行サービスを使ったからといって、それだけで懲戒解雇になることはめったにありません。会社がこの重い処分を下すには厳しい法的条件があり、あなた自身に重大な問題行動や著しく不誠実な対応がなければ過度に心配する必要はないでしょう。
大切なのは信頼できる退職代行サービスを選び最後まで誠実な対応を心がけることです。そして万が一会社から不当な扱いを受けそうになった場合には、ためらわずに専門家に相談しましょう。退職はあなたの新しい未来への大切な一歩。この記事がその一歩を後押しできれば幸いです。